43 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/12/21(土) 23:37:59.30 ID:dZUnuoHG0 
小学校のとき、先生に知能に障害がある子のうちに遊びに行かされた。 
彼は脇目もふらずにドラクエ3をやっていて、正直、「こいつでもドラクエとかわかるんだなあ」と思った。
 
三十分ほど彼のプレイを見ていて、とても悲しい事に気が付いた。

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彼がそのゲームでやっているのは、 
アリアハンの周りでスライムとカラスを倒す、ただそれだけだった。 
パーティにただ一人の勇者のLvは50を越えていた。彼は永遠、素手でスライムを殺し続けた。 

とても楽しそうだった。 
先に進めてやろうと思い1コンに手を伸ばしたら凄い剣幕で怒鳴られた。 
なんて怒鳴られたか聞き取れなかったけれど、とにかく怒鳴られた。 
それを見て彼の母親が「ごめんなさいね、○○ちゃんはファミコン大好きのよ」と僕に謝った。 
彼はドラクエ以外のソフトは持っていなかった。 

僕はそれ以来、ゲームをやらなくなった。 
以前のようにゲームにのめり込めなくなってしまったのだ。 
コントローラーを握るとやるせなくなった。 
友達の家に行ってもみんながやるのを見ているだけだった。 
その間、僕はゲームに興じる友達の背中だけを見るように努めた。本当にむなしかった。 

その内に、僕はファミコンを憎むようにさえなった。 
今までの人生の中で、あんなに何かを憎んだことはない。 
それは真夜中に僕を目覚めさせた。 
ゲームなんかこの世からなくなってくれと本当に願った。 
僕はソフトを彼に全部あげて、本体は捨ててしまおうと思ったが、兄に怒られそれすらできなかった。 
一人暮らしをしている今でもゲームは嫌いだし、もちろん家にも置いていない。 

時々、彼と、永遠に世界を救えなかったであろう彼の勇者の事を思い出すと、 
とても悲しくなる。